番外編を同時うp。
ヅラsideです。
この先、土方side。神威sideなんかもちょくちょく書けたらなぁ・・・なんて・・・
Cheveux écarlate -緋色の髪の男-
《 3.5 》 -side ヅラ-
不甲斐ない―――
俺はあの時辰馬に言った自分の言葉を思い返していた。
《心配するな、自分達の身くらい自分で守れる。》
何が『自分で守れる。』だ・・・
守るどころか・・・完全に銀時の足を引っ張ってしまった。
その来訪は、本当に突然だったのだ―――
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ビィィィィィ.....
鈍く鳴り響く呼び鈴―――
俺は何の疑いも持たず戸を開けた。
(やぁ、君は確か・・・桂小太郎・・で合ってるよね?)
(ッッ!!?)
貴族の衣装に身を包み、幼さを残した容貌に、緋い髪の・・・
目の前に立つ男が、辰馬が話していた《緋髪》であると瞬時に分かった。
何故自分の名を知っているとか、そんな疑問よりもまず、何故この男がこの家を訪ねてくるのかという疑問の方が強く浮かんだ。
(坂田銀時は居るかい?)
(・・・は・・銀時・・・?彼に、何の用が・・・)
(それは本人に直接言うとして、居るの?居ないの?)
貴族が、しかもよりによってシュヴー・エカラートが、銀時に用事とは・・・一体どういうことだ?
もしや仕事の依頼だろうか・・・
聞きたいことは山ほどあったが、エカラートの問うてくる視線がそれを許してくれそうになかった。
(・・・居ない。)
とりあえずは奴の問いに答える。
嘘は言っていない。
しかしたとえ銀時が家に居たとしても、俺は居ないと答えただろう・・・
(そ、じゃぁ彼が帰るまで待機させてもらうよ。まだ少し時間があるからね。)
(な、ちょ!勝手に入られてはッ・・・)
(待っているだけだよ。別に家の中を歩き回ったりしない。・・・何か不都合があるかい?)
(ッッ・・・・・・・いや・・;;)
彼の醸し出す異様な圧力は、他者に有無を言わせぬものがあった―――
それから銀時が帰宅するまでの数十分、重苦しい沈黙の中を俺はエカラートと過ごす羽目になった。
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―――まさか、辰馬が恐れていたことが現実になってしまうなんて・・・
あの時・・・俺が無理にでもエカラートを帰していれば、そんな者は知らぬと言えていれば、こんなことにはならなかったのではないか・・・?
おそらく、どのようなことをしようとあの男には通用しないだろうということはわかりつつも、悔やまずには居られない。
俺のせいで・・・銀時が―――
「おいヅラ。」
「ッ!!・・・・・・ヅラじゃない、桂だ。」
「それ言えるってこたぁもう大丈夫そうだな。」
「・・・・・・本当に行く気なのか?」
「そう言っちまったからな。」
「だが奴はッッ!!」
「まぁ聞けよ。」
「・・・?」
それから、今日銀時が受けた依頼や、それに関する調査のことなど諸々を聞かされた。
銀時の言い分と目的はわかった。しかし・・・
「奴は・・・普通じゃない・・・」
「あぁ、わかってる。」
「・・・・・・・。」
俺は銀時ほど辰馬の言うことを全否定できる訳ではなく、髪も伸ばしていて家の家事全般もする。
性格も他3人に比べ落ち着いていることから、周囲から女性と間違われることが時々あったりした。
だが、俺は正真正銘男だ。
腕っ節だって銀時達と大差はない。むしろケンカすれば勝つときだってある。
それなのに俺は奴の、エカラートの腕を振りほどくことが出来なかった。
エカラートが俺の所へ向かってきた時点で頭の中では激しく警鐘が鳴り響いていた。
それなのに何の抵抗も出来なかったのは、おそらく・・・奴の《目》―――
奴は俺の方を向いたと同時に顔から笑みを消し、瞳孔の開いた目で真っ直ぐ俺の目を見てきた。
途端に体がその場に縫い止められたかのように動けなくなってしまった。
危険だ。離れなければ。解っているはずなのに、体が動かない。
まさに、蛇に睨まれた蛙―――
否、アレは射貫かれていたと言った方が正しい。
体が動くと思った時には、既に顔に笑みを戻したエカラートが目の前に立ち、次に待っていたのは背中に受けた強い衝撃だった。
両手を使って必死で抵抗した。
自分がこのような状況であるということが何を意味するのかが恐ろしい程良く解っていたからこそ、普段よりも数段力が出せる気がした。
それなのに、エカラートの腕はびくともしなかった。緩みもしないし強まりもしない。
まるで抗う俺をあざ笑うかのように、時間が経てば経つほど、抗えば抗うほど苦しみが増していくような絶妙な力加減を保っていた。
何故だッ―――?
恐怖と混乱が入り混じって全身が粟立った。
自分よりも遥かに体格のいい男が相手ならばまだ納得がいく。
しかし相手は自分より背も低く、体格も華奢に思えた。
なのにあのあり得ない力の差はなんだ。
「とても・・・人間とは思えなかった。」
「おめぇが手も足も出なかったんだ。そう思って当然だわな。」
やはり銀時も、先程の光景から察していたらしい―――
「俺は、お前にもしものことがあれば辰馬達に会わせる顔が無い・・・」
「平気さ、何かある前に俺が奴を仕留めてやらぁ♪」
「簡単に言うな。奴は普通じゃないと話したばかりだろう。とにかくまず辰馬達に連絡して・・・」
「駄目だ。」
「は?」
「辰馬や高杉には、今回の件は言わなくていい。言うのは全部ことが済んだ後だ。」
「何を言っているんだ。友の一大事だぞ?」
「言えば辰馬達のことだ。どんな大事な仕事でもほっぽり出して帰ってくるに決まってる。俺の仕事絡みでもあるし、もうここまでくれば全て俺の問題だ。下手に帰って来られて巻き込んじまう訳にも行かねぇだろ?」
「・・・・・ッ;;」
「わかってくれ。」
「・・・・・・・・・すまない、銀時。」
「・・・・・んな心配すんなよ・・・。マジでヅラが必要になっちまうぞ♪」
「・・・・・・ッ貴様・・・人の心配する気持ちを踏みにじってそんなに楽しいかッッ!?」
「本当のことじゃねぇか♪いつまでもんな辛気くせぇ面してたら飲み屋のおやっさんみてぇにハゲ散らかっちまうぜ?」
「余計な御世話だ馬鹿者が。」
「それより早く飯食おーぜ飯ぃ。今日は疲れたから早く寝てぇんだよ。」
「・・・;;はぁ・・すぐ用意するからその辺に座っていろ。全く・・・大体お前は昔からいつも自分勝手でブツブツブツ・・・」
「姑みてぇだぞぉヅラァ。」
「やかましいッッ!!!」
―――わかっている。
銀時がいつも考え過ぎてしまう俺を気遣ってくれているということくらい。
上辺では隠していても、銀時自身が一番不安に違いないのだから。
悔しいが、今の俺にはことの成行きを見守るほか出来ることはない。
ただ、銀時が無事に帰って来てくれることを祈るしかないのだ。
やり切れぬ気持ちを抑え込み、俺は適当に拵えた夕飯をダイニングにいる銀時の元へと運んだ。
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うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅむ・・・・・・・シュールだぁぁぁ・・・;;;←アレ?デジャヴ。
でもね、青髭(元ネタ)もかなりファンタジーな世界でしたから。
これくらい普通じゃない設定でもアリだよね。盛り上がるしね。うん。←
ヅラがちょっと切ない役回りになっちゃいましたね。。。;;
でもこんなヅラが好きvvv←
攘夷組4人で暮らしてたらヅラは絶対家事全般担当だと思うんですよねぇ・・・
交代性ってのもアリですが他3人が稼ぎに出るってなると必然的にこうなりそうwwwww
とりあえずヅラsideはここまでとなります。
寄り道ありがとうございました。m(__)m

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